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1: 誰そ彼 20/07/02(木)00:15:54 ID:MMw
彡(゚)(゚)「そう、そこはワイが小さい頃よく遊んでた神社や。結構でっかい神社でな、よく友達と鬼ごっこしてたもんや」シミジミ

彡(゚)(゚)「あれは7月28日やった、ワイは10歳やったか、その日は友達の家に泊まりに行ってたんや。」

引用元: https://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1593616554/

2: 誰そ彼 20/07/02(木)00:16:16 ID:MMw
彡(゚)(゚)「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」

彡(゚)(゚);「原ちゃんマリカー強すぎない?そのギャギャギャッとやって速くなるやつどうやるんやワイまた最下位やねん…」

(´・ω・`)「さっき教えたばっかりじゃないか…まぁいいや、これはドリフトといってね、こうDSのLRを同時押しで…」ドリフトギャリー


彡(゚)(゚)「おお!原ちゃんはさすがやな!もう負けんで、もっかい勝負や!」

(´・ω・`)「ふふ、そう簡単には負けないよ」


3: 誰そ彼 20/07/02(木)00:16:43 ID:MMw
───────────────

彡()()「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!
!!(ブリブリブリブリュリュ
リュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!
)全然かてんわ!もうやめややめ!」

( -ω- `)「ふっ、僕に勝つにはあと10年足りないね。」ドヤァ

4: 誰そ彼 20/07/02(木)00:17:00 ID:MMw
彡(゚)(゚)「なんか他の遊びしようや、マリカーは糞、はっきりわかんだね。」

(´・ω・`)「他のったって……あっ」

彡(゚)(゚)「ん?なんやそんな閃いた顔して。」

(´・ω・`)「今って丁度夏だし、結構蒸し暑いよね。」

(´・ω・`)「肝試し、しない?」

────────────────

彡(゚)(゚)「…ってここいつも放課後遊んどる神社やんけ!」

5: 誰そ彼 20/07/02(木)00:17:15 ID:MMw
(´・ω・`)「いつもは夕方だろ、今は夜だよ?ほら、なんかちょっと怖くなる…」

彡(゚)(゚)「訳ないやろ!ここは夜でも電気ついてて明るいわ!」

(´・ω・`)「でも神社の方は電気ないよね?雰囲気出ると思うよ。」

彡(゚)(゚)「せやろか。」

6: 誰そ彼 20/07/02(木)00:17:46 ID:MMw
(´・ω・`)「そうだねぇ、ほんと不気味とかそういう雰囲気が一切ないよね…ん?」

彡(゚)(゚)「あ?なんやワイの顔に1本糞でも巻きついとるんか?」

(´・ω・`)「いやそういうのじゃなくて…なんか神社の方から聞こえてこない?」

彡(゚)(゚)「ん?なんが聞こえるってんや?」ミミタテ-

8: 誰そ彼 20/07/02(木)00:18:22 ID:MMw
(´・ω・`)「一体どこから聞こえてるんだろ?」

彡(゚)(゚)「ちょっと見に行ってみるか。」

ワイと原ちゃんは音のなる方へ向かい始めた。
神社に近づく度にこの軽快な音はどんどん大きくなってきて、それは太鼓だけではなく様々な楽器の音で奏でられていることに気づく。

彡(゚)(゚)「なんかこの音、テレビで聞いたなんとか音頭に似てるなぁ。」

(´・ω・`)「お祭りかなんかあってるのかな?」

9: 誰そ彼 20/07/02(木)00:18:41 ID:MMw
ワイは原ちゃんより少し先に音のなる方へ進む。どうやら神社の裏から聞こえているようだ。ワイは神社の裏に回り込んだ。

彡(゚)(゚)「さーて、どこから聞こえるん…」

彡(゚)(゚);「…なにこれ?」

神社の裏、そこにはワイの半分くらいの高さの扉があった。多分神社の中に繋がってるのだろうが、神社の中は真っ暗だった。

しかしそこから、確かにこの軽快で魅力的な、つい口ずさんでしまいそうな、耳に残る音が聞こえる。

10: 誰そ彼 20/07/02(木)00:19:13 ID:MMw
彡(゚)(゚)(開くんかこれ…?)ガチャ

彡(゚)(゚);(あ、開く!鍵はかかってないようや…)

彡(゚)(゚)「ちょっと失礼しますやで~」ドアアケ~

ワイは観音開きの扉を引いた。小さいがワイが入るには十分な大きさやった。
扉が開いた瞬間、ずっと籠っていた音が明かりとともに放たれる。ワイは少しびっくりしたが、すぐに屈んで中へと入る。

彡(゚)(゚)「あれ?外?……あっ」

11: 誰そ彼 20/07/02(木)00:19:36 ID:MMw
───────────────

ワイワイ …
 ガヤガヤ… ドン…
シャン…

ドンドン…
 ワイワイ…

ガヤガヤ

シャンシャン…

彡(○)(○)「わぁー………」


そこはお祭りがあっていた。

13: 誰そ彼 20/07/02(木)00:19:54 ID:MMw
参道は橙の提灯で照らされ、脇には屋台がずらりと並んでいる。
その周りではたくさんの人達が賑やかに祭りを楽しんでいるが、何故か大人子供関系なく、皆浴衣に狐の面を付けていた。

14: 誰そ彼 20/07/02(木)00:20:16 ID:MMw
屋台の裏にはやぐらがあり、上では誰かが軽やかに、しかし力強く太鼓を叩いている。その隣でも、別の人が竹でできた笛のようなものを吹いている。
一見適当に鳴らしてるように聞こえるが、2つの音が合わさることで、かろやかで、かつパワフルな、とても惹かれるメロディーを奏でる。

15: 誰そ彼 20/07/02(木)00:20:26 ID:MMw
「こんな祭りがあってるなんて、早く気づいてれば…お金、家に忘れてもうたわ。」ワイはガックリと肩を落とした。
一度、家に財布を取りに戻ろう。そう考えた。しかしここは一体どこだろうか。神社の裏に神社がある、なんて話は聞かない。

16: 誰そ彼 20/07/02(木)00:20:36 ID:MMw
それに神社の裏口?から入ったら普通は神社の中に出るはずだ。だが何故か外に出ている。ここはどこだろう?
「…戻るか」ワイは少し怖くなって、もときた扉に戻ろうとした。
その時

17: 誰そ彼 20/07/02(木)00:21:02 ID:MMw
「ここはお金は取らないよ。」
ワイは振り返る。そこには女性が立っていた。スラッとしているが、中学生くらいだろうか?鮮やかな藍色に染まった、紫陽花柄の浴衣を着ていて、顔はやっぱり、狐のお面を付けていた。
「ここはね、1年に1度、夏の半ばにみんなで集まって楽しむためにお祭りを開くんだ。だから、ここはお金は要らないよ。」

18: 誰そ彼 20/07/02(木)00:21:23 ID:MMw
???
ワイには言ってることが分からなかった。
「いや、待ってや、屋台で焼きそばとか買うならお金がかかるやろ?」

「いいからいいから。ほら、珍しいお客さんも来たことだし、私が案内したげる。」

ワイは手を繋がれ、屋台へと半ば強引に連れていかれる。

19: 誰そ彼 20/07/02(木)00:21:35 ID:MMw
ここの屋台は、どれも素晴らしいものばかりだった。
胡椒がピリリと効いて、食べ応えのある焼きそば。
色鮮やかで、とっても甘いりんご飴。
赤と黒とが混ざり合い美しいコントラストを織り成す金魚すくい。
射的では、あとちょっとでドロップ缶が取れそうだったが、ギリギリで駄目だった…残念。

20: 誰そ彼 20/07/02(木)00:21:54 ID:MMw
──────────────────
ワイは時間を忘れて、屋台巡りを楽しんでいた。お姉ちゃんといる時間はとても楽しかった。そして、ワイはふと思い出す。

「あっ、原ちゃんのこと忘れとった。……今何時や?」

ワイは腕時計を見る。
9時45分。あれからもう2時間が経とうとしている。

21: 誰そ彼 20/07/02(木)00:22:15 ID:MMw
「あああかん!帰らな!!すまんのお姉ちゃん、ワイもう帰らなあかんわ!怒られるやろなぁ…」

「あら、もう帰っちゃうの?」

「今日はありがとな、楽しかったで!またいつか一緒に回ろうや!」

「そう…ふふ、今日は楽しかったでしょ?はい、これあげる。」

お姉ちゃんはお面を外し、ワイに渡した。

22: 誰そ彼 20/07/02(木)00:22:48 ID:MMw
「これ、ええんか?」

「ええよ。絶対、また遊びに来てね。姉ちゃんとの約束。」

お姉ちゃんはにっこりと笑った。それはそれは、綺麗な笑顔。
夜風に吹かれてお姉ちゃんの髪がなびく。

ワイは胸の辺りが熱くなるのを感じた。

「う、うん。絶対、また来るで!また、絶対、絶対一緒に遊ぼうや!!」

ワイはお面を頭の後ろに付け、扉を押した。

23: 誰そ彼 20/07/02(木)00:23:15 ID:MMw

……ン!
……クン!
(´・ω・`;;)「やきう君!!」

彡(‐)(‐)「…ん?」

彡(゚)(゚)「あれ?ここは、家?…神社は?お祭りはどうなったんや?」

(´・ω・`;)「何言ってるの!先に君が裏に回ったから僕もそのままついて行ったんだ、そしたら君が倒れてんだよ。家まで運ぶの大変だったからな!」

彡(゚)(゚);「おお、それはすまんな。」
……
彡(゚)(゚)(あれは…夢、だったんか?)

24: 誰そ彼 20/07/02(木)00:23:47 ID:MMw
(´・ω・`)「ああそういえば、君の頭に何故か狐のお面がついてたんだ。なにこれ?」

彡(゚)(゚)(…!これは、お姉ちゃんがくれた…)

彡(゚)(゚)「やっぱり、夢じゃなかったんやな…」

(´・ω・`)「何言ってるの?」

彡(゚)(゚)「ああいや、別になんでもないで。」

(´・ω・`)「ならいいけど…ほんとに心配したんだからね!」

彡(^)(^)「すまんすまんw」

彡(゚)(゚)(姉ちゃん、また来年な。)

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25: 誰そ彼 20/07/02(木)00:24:32 ID:G3O
実話か?

26: 誰そ彼 20/07/02(木)00:24:45 ID:MMw
その後、ワイは毎年28日になると神社へこっそりと通っていたが、あれ以来祭囃子を聞くことはなく、5年も過ぎればもう行かなくなっていた。
あれから10年が経ち、ワイももう立派な大人になり、役場の職員として毎日働いていた。

27: 誰そ彼 20/07/02(木)00:25:04 ID:MMw
彡(゚)(゚)「もう7月29日やな…」

彡(゚)(゚)「小さい頃はこの日夜に、あの神社に通ってたな。」

彡(゚)(゚)「あの後知ったことやが、あそこに祀ってあるのはお稲荷さんだった。多分ワイが行ったお祭りは、年に一度お稲荷さん達が集まって、どんちゃん騒ぎをしてたんやろな。お姉ちゃんも、多分どこかのお稲荷さんのひとりやろう。」

彡(゚)(゚)「…久しぶりにいってみるか。」

ザッ
ザッ

ザッ
ザッ
──────────────

28: 誰そ彼 20/07/02(木)00:25:54 ID:MMw
神社の入口に着く。今は午後7時、丁度あの頃と同じくらいだ。
ワイは頭にお面をつけ、神社への道を歩いていく。

彡(゚)(゚)「今年こそは、会えるかな。」

道の真ん中辺りまで歩を進める。

ドン… シャン…

ドン…   ドン…
シャン…
シャン…

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あの太鼓の音が、聞こえた。

彡(゚)(゚)

彡(^)(^)

29: 誰そ彼 20/07/02(木)00:26:05 ID:MMw
彡(゚)(゚)「せや、久しぶりに神社行ったろ」


30: 誰そ彼 20/07/02(木)00:27:45 ID:MMw
勢いで描いたやで。ほな、また…